*済みません、このページ少しだけ可愛い同人乙女表現がございます。
興味の有る方のみTab等で反転してお読み下さいね。

「子豚タイムスリップする」

朝目が覚めて自分が子豚になっていた時、
これ以上驚くような事は起こりえないだろうと思っていた。
ずっとこの姿のままだったらどうしようか・・・・とも思ったが、幸いと言うべきか、
時々は元に戻れる事が解ったので(何がきっかけで戻れるのかはまだ良く解っていないのだけれど)とりあえず、今の状況を楽しむ心の余裕も出来てきた。

なにより、この姿だとあいつの胸に抱かれていても誰も何も言わないし、
あいつもこれ以上ない、という程の笑みを見せてくれる。
そして夢にまで見た、あいつの横で共に眠る・・・・という事だって出来てしまうのだ。
「幸せの青い子豚」という伝説を、小さな子供の頃に聞いた気がするが、あれは確か
子豚が幸せを運んでくれるのではなかっただろうか。
まあ、この姿になった事で幸せな気分を味わう事が出来るようになったのだから、
細かい事は考えないようにしよう。

その日、いつもの様に子豚の姿になっていた私は、あいつと一緒に河原へと散歩に
来ていた。
まさか人工要塞の中に河原があるとは、此処を攻略する為に血を流していた頃は
思いもよらなかった。
 その存在を知った時、随分と呆れ果てたものだったが、殺伐とした精神を癒すための
場所として作られたのだと思うと、感謝する気持ちにもなってくる。実際、人の姿の時には幾度か体の虫干しに利用させて貰っている。
「ほら、着いたぞ。」
あいつは腕の中から私を下ろした。
私はいつもの様に土手を駆け、川縁まで草を滑り下りた。
子豚になって初めて知ったのだが、腹で草の上を滑り降りるのは結構気持ちが良かった。
最近での密かな楽しみとなっていた私は、いつにも増して勢いよく草の中へ飛び込み、
うっかりしていた事に運動神経が発達していなかった事を忘れていた私は思わぬトコロに出来ていたギャップを避ける事が出来ず、
思いっきり頭からそのギャップの中へ突っ込んでしまい・・・・・

あいつの声が意識から遠ざかって行くのを聞いていた。

 

「大丈夫か、お前?」

次に目が覚めた時、やっぱりそこは河原で、頭を少し振って自分の体を確認すると
やはりまだ子豚のままだった。
『ああ、大丈夫。』
当然あいつには

「ブヒ・・・」

としか聞こえる訳はないのだが、ひとまずそう答えた。
「びっくりしたぞ、何か青いモノが転がってる、と思ったらブタなんだもん。」
あれ?あいつの声じゃない・・・???
私は顔を上げて、声の主を見た。そこに居たのは鉄灰色の髪とほほに散ったそばかす、
というトコロはあいつと同じだったが、
決定的な違いは、彼が子供だった事だろう。

「どうなってんだ?」

わけがわからず辺りを見回してみたが、どんなに目をこらしてみても
あいつの姿は見えなかった。

「お前、どこかから散歩に来たのか?飼い主とはぐれた?」
草の中から私を重そうに抱え上げた少年は、勢い余って後ろにひっくり返ってしまった。
「いってぇ〜」
『大丈夫かい?』
尻もちをついて痛そうに顔を歪めた少年に慌てて駆け寄った・・・つもりだった。
「うわっ馬鹿、急に腹の上に乗るなよ。お前重いんだから。」
勢い余って少年の胸の上に突っ込んでしまい、再び顔を歪める。
『ご・・ごめん!!』
私は慌ててそこから降りようとしたが、少年の腕に抱え込まれ身動きが出来なくなって
しまった。
「お前・・・捨て子・・・って事はないよな。青いブタなんて珍しいもん。
迷子だよな、やっぱり。」
抱きしめられ、ふと少年の持つ匂い・・・(動物だからこその嗅覚だろうか)
・・・が誰かと同じである事に気付いた。

「俺、ダスティっていうんだ♪お前は何ていうんだ?」
やっぱり!!
よくよく見回してみれば、そこに広がる空も川も流れる風も、人工のものではなく、
明らかに自然のものだった。
どうやら私は時空を越えてしまったらしい・・・・。
人間がブタになるくらいだ、なにが起こってももう驚くに値する事はないだろうと思っていたが・・・
まだまだ世の中不思議な事が多いらしい。
一通り気持ちの整理がついたところで、改めて目の前の少年をじっくりと観察した。
現実を受け入れた上で眺めるその少年は、確かに見覚えのある少年時代のあいつと
同じ姿で、成長した今とも全く変わらない笑顔と温もりに溢れていて、
思わず目を閉じ、その胸に頭を預けた。
「あはは、安心したのか?可愛いな、お前♪」
さらにぎゅぅっと抱きしめられ、少年の顔が目の前に近づいて来た。

ぺろっ・・・・

思わず少年の口元を舐めあげて、途端に我に返り自分の顔が染まるのを感じた。
『あ・・・いや、今のは・・・・』
「うわぁ、くすぐったいよ、お前。」
慌てて言い訳を口にして、ふと気付く。今の私は彼にとってコブタでしかなくて、
しかも一緒に転げ回る程の少年で邪心の欠片もなくて。
案の定少年はお返しのkissを私の頬に返してきたのだった。
『アッテンボロー・・・』
ふとその名をつぶやく。途端に涙が溢れてきた。
今自分を抱きしめている小さな腕は間違いなくあいつだけれど、
私のあいつではない・・・・。
小さなあいつが私の頬にkissをくれるけれど、でもそれは私が愛したあいつからのものではない・・・。

『帰りたいよぅ・・・』
少年の腕の中で小さな手足をばたつかせ、その腕から離れようとした。
そして一瞬でも早く、あいつの胸の中へ帰りたかった。
「ぶひぃ・・・」
「あ・・・おい、どうしたんだよ。そんなに泣いて。帰りたいのか?
でもウチ、どこか解るのか?」
戸惑った少年の腕がわずかに緩んだ瞬間、私はその腕から飛び降りてかけだした。
この河原のどこかに帰り道があるはずだ。私は帰らなければならないんだ。

そして・・・・。
やはり運動神経が欠如している事を忘れていた私は突然目の前に見えた石に蹴躓き、
ボールの様に勢いよく弾き飛ばされて、その中で少年の声が遠ざかるのを聞いていた。

 

「大丈夫か!?」
再び意識が戻った時、自分を見下ろしている人物を見つけた瞬間、
その腕の中に飛び込んだ。
『アッテンボロー!!』
「もう大丈夫だ。怖かったんだな。馬鹿だなぁ、あんなに勢いよく滑り降りるからだぞ。」
やっぱりまだ自分はコブタのままで、
けれど自分を抱きしめてくれるその腕はあいつの腕だった。

ぺろっ・・・
私はアッテンボローの口元を舐めた。今まではその瞬間に元の姿に戻った時の事を考えるととてもそんな事は出来なかったのだが、
そんな事はどうでもいい・・・という気持ちになっていた。
「何だ、お前?今日はやけに甘ったれだな。」
くすくす笑いながら、私の頬にkissを返してくれた。
「今日はもう帰ろうか。疲れただろ。」
私を抱き上げ、アッテンボローが立ち上がる。

「そういえば、さっき思い出したんだけど、子供の頃、
お前みたいなブタ拾った事があったんだ。すぐどこか行っちゃったけどな。
無事に元の飼い主に逢えていればいいんだけど・・・。」
『ちゃんと帰れたさ。』
その腕に身を任せながら、私は幸福の波間に意識を手放していった。

いつか・・・ちゃんとした姿でお前とこうして過ごすことが出来たら・・・・いいのにな。

 

おわり

●あすか様より
 一応この設定は青いコブタ=ヤンで、アッテンはその事をまだ知りません。
アッテンはヤンの事を好きだけれど、まだヤンはその事を知りません。
勿論ヤンの気持ちもアッテンは知らなくて・・・。そんなお話。
勢いだけで書いたイミなし文。あまり長くしたくなかったので萌え場もないし。
ま、そんなだけど受け取って貰えると嬉しいなぁ・・・。

■管理人:有
いやぁ・・あすかさんに「おねだり上手V」とほざいた自分が恥ずかしくなります
私こそアッテンボローサイト随一の「おねだり上手」を自負させていただきます!
やった〜〜!なんでも言ってみるもんだよおっかさん!
 あすかさんの青子ぶたのこけっつっこみ度がかなり壺ですV
 なんて可愛い〜のっVV
空を飛ぶときの足をばたつかせる状態と、ぶぎゅっ!という擬音さえ
脳内に響き渡るようです。

目に見えるような情景描写は本当にさすがですね、あすかさん。
うふふふっふ・・笑いが止まらん。
勿論、背景に使用させて頂きました。
イラストはがっつりと「宝」ページにて展示させていただいておりますゆえ。
二倍楽しく美味しい青子ぶたを本当にありがとうございましたV。 
 あと、こちらに都合の良い勝手なレイアウトにしてしまいまして申し訳ありませんでした。












































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